LITTLE BUSTERS 08 ホーンアゲイン〜トライアル(兵庫〜鳥取)

ホーンアゲイン(兵庫)

忘れもしない2011年2月20日、人生で初めてピロウズ のライブへ行った。チケットは部活の後輩が保険で応募して余らせていたものを買い取った。

相当気がはやって応募したのだろう、入場した時にはかなり前の方へ詰めることが出来たのを覚えている。良番じゃないか。

ライブハウスの照明が落ちる、歓声が上がる、ケリーズ・ダックと手拍子だ。これがライブか!緊張と興奮で眩暈がする。

人影が現れる。更なる歓声。鳴り響くバッキングギター。Limp  tomorrowだ。ライブに向けて毎日繰り返し聴いてきた曲だ。目の前に本物のさわおさんがいて、歌っている。あの音だ。あの歌詞だ。

数曲演奏して最初のMCだったと思う、さわおさんから「憧れのロックスターが目の前にいるんだぜ?もっと前に来いよ。」と煽られ、フロアの前半分が押し寄せる。

そのどさくさで柵前まで入り込む。夢にまで見た景色。恐らく勘違いでは無くバチバチに目が合う。こっちはかなり目立つ学生服だ。嫌でも目に入っただろう。ギターに打ち抜かれる。

もう今から12年前か。それから大学生になっても社会人になってもずっとピロウズ のライブは最高だし、沢山の素晴らしい景色を見せてくれた。

思い出深いアルバムに浸りつつ兵庫を駆け上がる。ここは佐用インターチェンジ。地図でどのあたりかは知らん。

トライアル(兵庫〜鳥取)

このアルバムが出た時、ピロウズ はかつて無い岐路に立たされていて、自分の人生も同様に大きな転換期だった。

2012年の1月、センター試験が終わり勉強の合間の息抜きを兼ねて出願予定の大学を下見に行った。雪に埋もれた真冬の長野県を親の運転で進んでいく。ひたすらトライアルをリピートで聴きながら。

受験期の不安感や長野の悲しげな銀世界は正にこのアルバムの雰囲気と合致していた。悲しげな曲調が続く、この先バンドはどうなってしまうのだろうという不安感を想起させる。

持ち主のないギターで焦燥感はピークに達する。物悲しいアウトロ。本当にこのまま終わってもいいとすら思っていたのだろう。

しかしトライアルの力強いイントロに目が覚める。終わらせるわけにはいかない。強い意志を持って臨むさわおさんの姿が目に浮かぶ。

絶望感の暗闇を何度も抜け出してきたはずだ。我々バスターズは皆んなそれを知っている。

Ready Steady Go!を聴いて不安は杞憂だと分かる。これからもバンドは続いていくんだ。出発の準備はもうできている。

人生で深く影響を受けたアルバムが続いたのであれこれ考えてしまう。困難に立ち向かう姿をピロウズ は沢山示してくれてきた。そしてその先に見える景色も。

30周年の会場でReady Steady Go!を聴いた時にファンとしても至上最高の景色を見せて貰えた。だからきっとこれから先何が起きても大丈夫なんだ。