LITTLE BUSTERS 03 ランナーズハイ〜ハッピー・ビバーク(愛知〜三重)

ランナーズハイ(愛知〜三重)

愛知、それは一つの巨大な工業都市。少なくとも高速走ってるとそんな印象を受ける。豊田市に入った辺りかな?巨大な送電線の森と変電所の集落が視界を埋め尽くした。それだけの生産力がこの土地にあるんだ。

またしばらく行くと名古屋港の全貌が現れてくる。そのスケールに息を呑む。考えてみれば単純なことだ、大量に作って大量に輸送するのだ。原料だって大量に仕入れる。

製造業は経済の骨髄だよな。作って作って消費して、無くなったらまた作って、そして全てに金がまとわりつく。作る側も消費する側も役割が別なだけでペアの歯車なんだよ。

そんな中京工業地帯にランハイはよく似合う。フリクリチックな街だからね。どこからともなくリッケンバッカーを背負ったピンク髪女がベスパに乗って通り過ぎそうな。

生産と物流が脈動する都市をWhite ashを流しながら駆け抜けていくのは最高の気分だったね。アルバム自体全体的に疾走感があって、この街のエネルギーに負けない。

名古屋の端で長島が見え始める。もう県境だ。確かめに行こうが流れてくる。次の県には何が有るかな。

ハッピービバーク(三重)

洲になっている長島を抜けるとハッピービバークに入る。頭の歌詞から核心を突かれて不意に涙目になる。

なりたい自分に今日も追いつけないまま。

言えないくらいのたくさんの痛みさえ、最近じゃ笑い飛ばせる。

誰の真似もしたくない、道なき道を行こう

ここにある人生で僕ら得た答えは、頂上なんてないんだ

ファーストアルバムから通しで聴いたからこそ、これらのフレーズが持つ重さを生々しくリアルに喰らった。

数多くの壁を乗り越えて、自分のスタイルが認められ始めて、目指すべき明確な頂上なんて無いことを知る。

それでも頂上を目指す中で見つけた自分の信念とか正しさは届くべき所に届いて、その葛藤は幸せなビバークだったんだ。

一曲目だけでこんなに熱くなっちゃったよ。でもハッピービバークがいかに素晴らしいアルバムかなんて事は今更説明するまでも無いか。ピロウズ の歴史を辿った事と今の自分の葛藤が重なってつい語りたくなったもんで。このアルバム作ってるときさわおさんは30歳なのか。は〜。

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御在所サービスエリアで昼休憩をとる。ずっと高速から降りないからご当地感を感じるのはサービスエリアくらいだよ。きしめんを食べた。

やはりランハイビバークピロウズ の黄金期だ。日本のオルタナの金字塔だ。ピロウズ の事が一生好きだ。

 

 

LITTLE BUSTERS 02 プリーズ・ミスター・ロストマン〜リトルバスターズ(静岡〜愛知)

プリーズ・ミスター・ロストマン(静岡)

富士山の存在感が違うぞ静岡。

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確かに学生の時静岡出身のやつが、事あるごとに静岡側から見る富士山は凄いぞと息巻いていた。駿河湾に面する地域はどこ走ってても常に富士山が視界に入る。しかもでかい。

そんな富士山を右側の視界に捉えつつ新東名高速で西を目指す。久々に通ったけどやっぱ時速120キロ制限はいいね。三車線だし一本一本が広い。ずっと直線。

この辺のアルバムからマイフット まではほぼ同時に聴き始めてるから初めて聴いたシチュエーションとかはもう思い出せないです。しかしもう怒涛の3期ですよ、これがピロウズ !今までの雰囲気とは土台からして違う!

流れてくる全ての音が良いなと改めて噛み締めるんだけどそれも当然、思春期の入り口あたりで、カッコイイ音楽ってこういう奴の事だよって初めて教えてもらった曲たちだから、今の自分の価値観を3期ピロウズで作っちゃったのよ。

今の心境と照らし合わせるとアイスピック、ストレンジカメレオン、スワンキーストリート、プリーズ・ミスター・ロストマンの歌詞が見事ぶっ刺さったねえ…

2期までのやり方じゃ評価されず、バンド内の衝突とか、ピロウズは俺のバンドなんだって気持ちとか、ならいっそ本当に自分がやりたいように好きにやってそれが売れなければこの曲はもう音楽業界への遺書だ。

おそらくそんな気持ちで当時のさわおさんの全てをかけたのがストレンジカメレオンで、その次に来る曲が誰の記憶にも残らないほど〜で始まるのはずるい。しかもタイトルはスワンキーストリート、これから派手な道を突っ走ってやろうってことでしょ?

やっぱり成功する人って自分が正しいと思えるやり方に全て賭けて、貫き通した先に本物の価値を得ているんだろうな。

自分に足りないのはなんだろう。貫くに値する対象か。それとも貫く覚悟か。

リトルバスターズ(静岡〜愛知)

広い、でかい、長いぞ静岡。プリーズ・ミスター・ロストマンはついに静岡から抜け出せなかったわ。

いきなりタイトル回収だけどやっと旅の序盤が終わったくらいだよ。

このアルバムも思い出深いねえ。中学の頃まだ親と車でどっか旅行行くことが多くて、片道3時間とかだと中学の入学祝いで買ってもらったMP3プレーヤーに入れた曲をずっと聴いてた。なぜかその時よくリトバスをかけてたんだよね。

フリクリピロウズ を知ったのでよく考えれば初めて聴いた曲はOne Lifeになるのか。ライドンの印象があまりにも強すぎてずっと忘れてたけど。

ど頭から脳が痺れるくらいのオルタナで、バラード調の落ち着いた曲も織り交ぜつつ、ピロウズ を語る上で外せないハイブリが生まれる。ブルドラなんてピロウズ を好きになるような人の全てに深く突き刺さるでしょ。このアルバムがファンネームを冠しているのも納得。

新東名のどストレートはハイブリとブルドラを熱唱しながら駆け抜けるには最高だったよ。そんなこんなで順調に愛知に入ったのでした。

 

LITTLE BUSTERS 01 ムーンゴールド〜リビングフィールド(群馬〜静岡)

ムーンゴールド(群馬〜埼玉)

中途半端に仕事を切り上げ、水金と有休を取ってしまった事に後ろ髪を引かれつつ会社の駐車場へ向かう。空を見上げると強く張り詰めた上弦の月が夕日と宵闇の間にぶら下がっていた。

会社の荷物を家に置き、ファーストアルバムの一曲目をかける。これが旅の始まりの合図だ。

ピロウズ を初めて聞いた日からムーンゴールドを手に入れるまでは長く間が空いた。高一の秋口あたり、ピロウズ はちょうど20周年を迎えていて当時高崎にあったタワーレコードにも特設コーナーが有った。そこで初めて新品のムーンゴールドを見つけて感動したものだった。

まあ実際に音源を手に入れたのは同時期に新しく建った市立図書館でレンタルしたCDなんだけど。高校生でお金なかったしね。でもCD自体は2年くらい前に近所のブックオフで帯付きを買ったよ。

色んなことに思いを馳せて高鳴る胸を押さえつつインターに入ったらETCレーンと勘違いして一般レーンを素通りしてしまった。慌てて次のスマートインターで降りて、更に慌てて下り車線で再入場しちゃって、最初に入った高崎インターから再スタートした。もう4曲もかかっちゃったよ。

埼玉入ったあたりであそこへ帰りたいが流れて、いや気が早えよと心の中で突っ込みつつ旅路を急ぐ。

まだ旅は始まったばかり。

 

ホワイト・インカーネイション(埼玉〜東京)

このアルバムこそ音源も込みで最も遅く手に入れたんじゃないか?車持つようになってすぐあたりで、当時住んでた松本の隣の市までブックオフ巡りに行ってついに見つけた気がするけど。

だから曲と共に過ごした時期はそこまで長く無くて、けれどサリバンとハレー彗星の原曲にいたく感動した事を覚えている。

一期の曲を通しで聴いてみると確かに当時の売れ線を意識してるんだろうなって気はして、ピロウズ の色よりも当時の音楽文化の印象を受けてしまう。

それでも後にセルフカバーされる3曲はやっぱり今のピロウズ の色に繋がる個性とカッコよさを持ってるし、さわおさん自身がやりたい音楽とバンドの方向性に挟まれてもがいてたんだなーって改めて思うね。周りはキャリアあるメンバーの中当時のさわおさんは20代前半だよ?自分も頑張らなきゃなー。

ここまではまだ見慣れた道で遊ぶ時によく通る圏央道。なんだかんだアルバム二枚で東京まで来れちゃうんだね、八王子だけど。

 

クールスパイス(東京〜神奈川)

このアルバムと出会った日は印象に残っているなー。兄貴が大学の夏休みで帰省してて、近所の中古屋に出かけたと思ったら興奮して帰ってきてついに見つけたぞって手渡されたんだよな。

NAKED SHUFFLEを聴いたあたりでもう今のピロウズ 感みたいなものが形になって来たんだなって印象を抱いた。あと個人的にアルバム全体の小洒落た雰囲気は結構好き。さわおさん自体もこのアルバム地味に気に入ってる感じあるよね?

クールスパイスまではそこまで聴き込んでないのにイントロ始まりでなんかピンと来てモノクロームラバーズのラララの入りを完全に合わせられた。そんな、20時20分の厚木インター付近。

厚木あたりもちょくちょく車で通るけど毎回思ったよりマンションいっぱいあるなーと思う。

製造業とか研究所とかあって、それを取り巻くサービスとインフラの労働需要があって金が流れて人が集まるんだろうなと思うけど厚木に降りた事ないし何があるのかは全くわからん。

海はある?根拠もなくある気がするんだよな。なぜか。

リビングフィールド(神奈川〜静岡)

リビングフィールドはピロウズ にハマった当初すぐに聴いたアルバムの一つだな。兄貴とフリクリ 一緒に見てライドン聴いて頭蓋をカチ割られたような衝撃が走り、一年以内には当時普及し始めたアマゾンで兄貴が片っ端から買った中の一枚。

ここまでが二期にくくられるけど大半が立派にピロウズ ピロウズ してるよね。始祖鳥は恐竜と鳥の境目だけどもうほぼ鳥じゃん?みたいな。

むしろ二期の洒落たムードと、三期のピロウズ を表す絶対的オリジナリティが良い塩梅で混ざり合ったこのアルバム一枚にしか無い独特な色を持っている気がするよ。

でもライブで演られることはほぼ無いのは残念だなー。ガールフレンドに至っては朝子ちゃんにあげるとか言われてるし。SHISHAMO大好きだから複雑な気持ちだけど。

ちょうど二期までの曲を流し終えたところで初日の宿に到着。その勢いのまま文章に起こしたらもう2時だ。明日はどこまで行けるかな。

 

LITTLE BUSTERS プロローグ

25を越えたあたりで抱き始める不安感をクォーターライフクライシスと言うらしい。かく言う私も30を手前にして仕事や会社への不満、友人が結婚したり子供を授かったりと、周りを取り巻く環境に心揺さぶられてクライシスの真っ只中に居た。

名前が着くほどポピュラーな現象なんだから現代人にとって一種の通過儀礼なわけで、社会人の大半が罹るはしかみたいなものだろうし、必要以上にくよくよすることはないとわかっているのだけれど、やっぱり渦中に居ると周りは見えないし落ち着かない。

先の見えない螺旋階段を歩くような毎日と、馴染まないで居るのか馴染めないで居るのか分からないこの人間社会でもがいていて、日々蓄積していく漠然とした不満を整理する為の旅をしようと決心した。

思えばピロウズ に出会ってからの17年間は常にピロウズ がそばに居続ける人生だった。だからピロウズ を改めて真正面から鑑賞する事は人生を見つめ直す事と同じな訳で、それが旅の動機と結びついた時に素敵なアイデアが浮かんだ。

ピロウズ のフルアルバムを全て流し終わるまで日本を横断し続けよう

人生を共に過ごした曲達が誘う場所はどんな景色なのか、想像しただけでゾクゾクした。何か明確な答えが出る保証なんて無いけど、今よりもっと感情の置き場が定まる気はする。

好きな紀行小説は深夜特急。好きなウェブライターはpatoさん。好きな旅番組?は水曜どうでしょうとTop Gear。好きなバンドはthe pillows。それでは出発します。

連れてってくれよ、この世の果てまで